大阪で少林寺拳法 〜 金剛禅総本山少林寺 大阪高槻道院

■修練レポ■ 新科目表の見方と活用方法について

Posted on 2011年03月15日

昨日稽古に来られた方にはお話ししましたが、13日の昇級試験をもって、旧科目表による技術修練及び昇級試験が終了となりしたので、昨日より技術修練時に使用する科目表を、全面的に新科目表に移行しました(=゚ω゚)ノ

それに伴い、新旧の違いによる技術修練法に少し混乱が生じるかと思いますので、とりあえず新科目表の見方と活用法(注意点)について書いておこうかと思います。

 

■新科目表の見方■

まず、従来の科目表は縦書きでしたが、新科目表では全て横書きとなっております。

各資格ごとの内容は、大きく分けると、

  • 資格ごとのねらい
  • 週別の技術修練予定表
  • 昇級・昇格考試実施要目

以上の三つのパートにわかれており、「ねらい」の部分に大まかなその資格で学ぶべき事柄について書かれてあります。

ただし、「ねらい」に書かれてある事柄はあくまでも「概要」についてだけなので、これだけを勉強すればいいと言うことではありませんので要注意!

 

次に週別の技術修練予定表についてですが、これは従来のものと一見は同じように見えますが、かなり表記の主旨が異なっております。

従来の科目表に書かれている週別の技術修練予定表は、上中下の三段段に分かれており、一段目は基本技術、二段目が法形、三段目が法形の構成となっておりました。

この一段目と二段目三段目とは特につながりはなく、基本は基本として、法形は法形として別途修練する、という感じで修練を行っておりましたが、新科目表では、この上下のつながりが左右に置き換わっただけでなく、左側の基本諸法の部分と右側の法形部分は大変密接した内容となっております。

 

例えば、6級第5週で学ぶ法形は「小手抜」となっており、その左側の基本諸法には、「抜き手の原理(順手・内手首)、裏拳打ち、頭分の急所・顔面の急所、差替入身・千鳥入身、開退り・順退り」と書かれております。

すでに「小手抜」を習得済みの拳士の方はよく分かると思いますが、新科目表では、6級で学ぶ「小手抜」に必要な動作と、学ぶべき事柄がきちんと「基本諸法」として記載されております。

 

このように、全てではありませんが、多くの法形の左側に書かれてある「基本諸法」は、その法形を学ぶことで体得する必要のある基本動作などが非常に分かりやすく、明確に書かれているというわけですね(^^)

逆に言えば、高段者・上級者が、この基本諸法部分をきちんと指導せずに、従来と同じような感覚で技の指導を指導をすると、「それは習っていません」という事が出てくるので、高段者・上級者が下の資格の拳士を指導するときは、従来のように法形の部分だけを見て指導せずに、必ず新科目表を確認した上で、左側の基本諸法をまず指導した上で、法形指導にあたるようにして下さい(-人-)

新科目表では「基本諸法」と「法形演練」は二つセットで修練する部分になっています!

 

同じように、法形の右側に記載されております「布陣、技術の構成」についても、従来は右左の違いや対構・開構の区別の無い技術の場合、技術として大きな間違いが無ければ、それほどうるさく言われることはなかったところではありますが、新科目表では「左右表裏」の四法を厳密に指導するように求められておりますので、「対構」なのか「開構」なのかは正確に指導してください(-人-)

 

■新科目表は覚えることが多い■

旧科目表も新科目表も、最終的には同じ事柄を全部やるという意味では、新科目表だから覚えることが多くなったという事はありませんが、上に書いたように「厳密に動作が指定されている」部分が出てきているので、6級なら6級で覚えること、7級なら7級で覚えることが大変沢山出てきております。

6~4級各資格の修行日数は16日と、従来よりも短くなっている分、習得する技術の数も少なくはなっておりますが、正直な感想を言えば、技が少なく感じるのは6級だけで、5級、4級と進むにつれ、従来の3級よりも覚えることが多く、新科目表の3級は従来の倍ぐらい技を覚えなくてはいけません。

それに加えて、同じ技も必ず左右修練する必要がありますので、順調に級が進むにつれ、おそらくは従来の3級よりもずっと大変な努力が必要になると思います。

 

なので、技術を指導する高段者・上級者の方は、指導する拳士の状態(心境・年齢・性別・体力・習得度)をしっかりと見た上で、楽しく稽古が続けられるように工夫してあげて下さいねっ☆

 

■習得資格が移動した技には要注意!■

新科目表では最初の資格が6級から始まるようになるのに伴い、技の並びも再編成されました。これにより、結構な数の技の並びが変わっています!

特に4~3級に移動してきた「突抜、二段抜、打上突・蹴、押受突・蹴」などは、旧科目表で昇級をしてきた拳士は未習得の場合もありますので、特に注意して下さい。

同じく、従来の四段科目、五段科目の技が、三段科目に移動してきているものもありますので、有段者の方は必ず級拳士科目表と合わせて、前の資格の技を確認して下さいね!

 

■昇級・昇段試験について■

昇級・昇段につきましては、従来通り週別の技術修練予定表の後ろに、資格別昇級・昇格考試実施要目が記載されております。

従来と大きく変わった点は、

  • 抽出科目は左右両方を実施する
  • 組演武は六構成となり、交互に行う
  • 運用法は49歳まで行う

という点ぐらいで、その他につきましては実施要目が細かく指定された、ぐらいになります。

 

■個人的な感想■

個人的な感想ですが、新科目表は「技の成り立ちを理解しながら技術の習得を進める」という意味では、大変よく出来ていると思います。

その技が何故その場所に出てくるのか、ということにはちゃんと意味があるように配置されており、基本諸法についても、忘れがちなところ、曖昧なところが出来るだけ無くなるよう、きちんと記載されていると思います。

 

昔に比べると、ある意味あれこれ細かく取り決めされてしまったがゆえに、技術の自由度が減ったように感じるかも知れませんが、個人的には科目表というのは「法形の基本」であって、応用については「基本をベースに応用を考える」というのが正しい流れだと思います。

 

応用に取り決めはありません!

 

毎月一度開催している少林寺拳法教室なんかでは、結構この「応用」部分に力を注いでいるところもありますので、お暇なかたは是非一度少林寺拳法教室にも足を運んでみて下さい(=゚ω゚)ノ

 

ps.

少年部につきましては、科目表に変更はありませんので、今回のお話しは一般部のお話しになしますm(__)m

 

(北野)